お内仏
お内仏について
私たち真宗門徒におけるお仏壇を「お内仏」と申すわけですが、それは古来宮中には「内
道場」と言われるものがあり、貴族などは「持仏堂」を持っていたようです。それが一般家
庭に入ってきたとき、家庭内の持仏堂、即ち「お内仏」になったわけです。そしてそこでは、
家の宗教としての「お内仏」ではなく、家族ひとりひとりがお内仏を通して、お給仕(荘厳)を
行い、ご本尊(阿弥陀如来)に手を合わせ「正信偈」のお勤めをし、仏法を聴聞し、念仏(南
無阿弥陀仏)申す身になるということが真宗門徒の生活です。
しかしながら近年では、先祖をまつる先祖壇にしたり、自分のお願い事をする依頼壇に
なってないでしょうか?いろいろな異式や異流がはびこっています。宗派の規定や宗風に
そわないような混乱はさけなければなりません。
まずは、お寺に相談することをお薦めします。
松尾英親
Q&A
Q 真宗ではお仏壇にお茶をお供えしないのですか?
A 結論から申しますと、お仏壇にお茶を供える必要がないのです。人情からすれば、亡き人
の好きだったお茶や果物、お酒の好きだった人に はワンカップの一杯でも供えたくもなる
でしょう。そのお気持ちは大変理解できますが、お仏壇の意味を心得て正しくお給仕するこ
とが大切です。
真宗のお仏壇は「お内仏(おないぶつ)」と教えられますように、私たちのご本尊をご安置す
る場所であり、阿弥陀如来を中心に浄土の世界をお荘厳されるものです。他宗で言われる
ような先祖壇、位牌壇ではありません。
お内仏は私たちの勝手な考えを持ち込んでお供えする場所ではなく、阿弥陀の世界に生
まれよと呼びかけてくださっている仰せを胸に聞き、南無阿弥陀仏と念仏申す身になって
ゆくための大切な場所です。
亡き人の私たちに対する願いは、お茶や好物を供えてくれということではなく、手を合わせ
てお念仏を申せる人になってくれということであるに違いありません。